二つの品種、二つの規則
ネッビオーロとサンジョヴェーゼは、イタリアを代表する赤ワインの名前、ピエモンテのバローロとトスカーナのキアンティを支える品種です。本稿では評判ではなく、生産規則が実際に定めていること、そしてそれがテイスティングに何を教えてくれるかを比べます。
ネッビオーロはピエモンテ最古の土着黒ブドウとされ、バローロはこの品種だけで造らなければなりません。これに対してキアンティはサンジョヴェーゼを主体に、ほかの品種も認められるワインで、最初のDOC規則では白ブドウも義務づけていました(第6節)。
トスカーナにはほかにも、キアンティ・クラッシコやブルネッロ・ディ・モンタルチーノといった名高い呼称があり、それぞれ独自の規則と土壌を持ちます。
AI
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岩の標本と赤ワイン
画像:Maison Apéro(生成画像) · Maison Apéro original
バローロの産地:11のコムーネ、斜面だけ
バローロの産地はランゲ、すなわちピエモンテ州南部で海岸アルプスとリグーリア・アペニン山脈に近い丘陵地帯です。生産地域はバローロ、セッラルンガ・ダルバ、カスティリオーネ・ファッレットの各コムーネ全域と、ラ・モッラ、モンフォルテ・ダルバ、ヴェルドゥーノ、ノヴェッロ、グリンツァーネ・カヴール、ディアーノ・ダルバ、ケラスコ、ロッディの一部で、合わせて11のコムーネにまたがります。
生産規則(ディシプリナーレ)は、このワインを斜面に結びつけています。畑は丘の斜面に限られ、谷底や湿った土地、平地、日当たりの不十分な土地は除外されます。標高は海抜170メートル以上540メートル以下で、新しく植える畑は北向き(真北から−45°〜+45°)を除きます。土壌は粘土質、石灰質、またはその組み合わせと定められています。
ネッビオーロには、バローロの規則とは別の栽培上の目安もあります。果皮にタンニンが豊富なため、ネッビオーロには日当たりのよい斜面、できれば南から南西向きで、標高200〜450メートル、霜や春の寒さを避けられる場所が必要だとしています。当サイトのカタログにあるブロッカルドのバローロ「イ・トレ・パイス」は、モンフォルテ・ダルバ、バローロ、ノヴェッロにある標高350メートル、南および南西向きの畑のブドウから造られます。
印を付けた高さは同じ縦の縮尺です。ボルドー色がバローロの規則の範囲、斜面に沿ったローズ色の帯がネッビオーロの栽培上の目安、点が標高350 mにある一つの造り手の畑です。目安は助言で、規則ではありません。方位図は、新しく植える畑に認められない北向きの範囲を示します。丘の輪郭、形と色は説明のための表現です。
図の内容を文章・表で読む
- バローロの規則:170〜540 m — 畑は丘の斜面に限り、この範囲の中
- ネッビオーロの目安:200〜450 m — 栽培上の助言で、規則の一部ではない
- ある畑:350 m — ブロッカルド「イ・トレ・パイス」。南と南西向き
- 谷底は対象外 — 湿った土地、平地、日当たりの不十分な土地も除く
- 新植:北向きは不可 — 塗った範囲は真北から−45°〜+45°
霧、遅い成熟、ランゲの気候
ランゲの気候は冷涼な亜大陸性の温帯気候で、守るように連なるアルプス山脈と、リグーリア海から届く穏やかで湿った気流がそれを形づくっています。バローロの地域そのものは中間的な気温で、風からは守られつつ、アルプスからの気流と、タナロ川の谷から上ってくる暖かく湿った空気の両方の影響を受けます。三つの丘の尾根が変化に富む景観をつくり、それに応じて多くの微気候が生まれます。
ネッビオーロは遅く、10月前半に熟します。ブロッカルドは「イ・トレ・パイス」を10月中旬から下旬に手摘みで収穫します。品種名には、いずれも霧(ネッビア)に結びつく二つの説明があります。果粉が厚く実が霧をかぶったように見えるため、あるいは遅い収穫が秋の最初の霧の時期にあたるためです。どちらも可能性として示されており、確定した事実ではありません。
バローロの下にある岩
バローロの丘はタナロ川を見下ろし、白い泥灰岩が特徴です。栽培地域の大部分は「トルトニアン」と呼ばれる地層に属し、層をなす砂と、あまり硬くない青灰色の泥灰岩からなり、低く丸みを帯びた白い丘をつくっています。
ランゲの地層は、ランギアン(1590万〜1380万年前)から、セッラヴァリアンとトルトニアンを経て、メッシニアン(720万〜530万年前)までの年代にわたり、サンタガタ・フォッシリ泥灰岩、レクイオ層、ディアーノ砂岩などがあります。レクイオ層では粘土質の泥灰岩と、より少ない砂が交互に重なり、粘土をかなり含むシルト質で、はっきり石灰質の土壌になります。セッラルンガ・ダルバの中部から南部と、モンフォルテ・ダルバの東斜面に見られます。ディアーノ砂岩は海底地すべりによって堆積したトルトニアンの砂の層で、その土壌は砂が非常に多く、石灰分は少なめで粘土も少なく、モンフォルテ・ダルバ、カスティリオーネ・ファッレット、バローロ、ディアーノ・ダルバ周辺に分布します。
ここで述べているのは岩と土壌であって、ワインではありません。あるコムーネのバローロは香り高く、別のコムーネのものは骨格がしっかりしているといったテイスティングの比較には、土壌のほかに標高、向き、三つの尾根がつくる微気候、そして造り手ごとの醸造の選択が混ざっています。
岩と土だけを描いています。どちらの地層もワインのスタイルには結びつけていません。層の数、厚さ、色は説明のための表現です。
図の内容を文章・表で読む
- レクイオ層 — セッラルンガ・ダルバ中南部、モンフォルテ・ダルバ東斜面
- 土:シルト質で、粘土をかなり含む — はっきり石灰質
- 岩:粘土質の泥灰岩 — より少ない砂と交互に重なる
- ディアーノ砂岩 — モンフォルテ・ダルバ、カスティリオーネ・ファッレット、バローロ、ディアーノ・ダルバ
- 土:砂が非常に多く、粘土は少ない — 石灰分は少なめ
- 岩:砂の層 — 海底地すべりで堆積した
熟成の規則と、ある造り手の選択
規則は熟成期間を収穫年の11月1日から数えます。バローロは38か月以上、そのうち18か月以上を木樽で、バローロ・リゼルヴァは62か月以上、同じく18か月以上を木樽で熟成させなければなりません。
この範囲の中で、抽出と熟成の方法は造り手が選びます。ブロッカルドは「イ・トレ・パイス」を、28℃に制御した発酵と約20日のマセラシオン、11月にステンレスタンクで行うマロラクティック発酵のあと、新樽から使用10年までの、最大60ヘクトリットルまでさまざまな大きさのフレンチオークとスラヴォニアンオークの樽で約24か月熟成させます。木樽での期間は、最低18か月という規則より長くなっています。
サンジョヴェーゼとキアンティの白ブドウ規則
トスカーナでの比較は、サンジョヴェーゼと、それに加えることが認められた品種から始まります。1967年のキアンティDOCの規則は、サンジョヴェーゼを主体に、白ブドウのトレッビアーノとマルヴァジーアを10〜30%含むワインと定めていました。現在のキアンティDOCGの規則では、トレッビアーノ・トスカーノとマルヴァジーアは単独でも合わせても最大10%まで認められています。
つまり二つの名前は、規則が何を固定しているかが違います。バローロは一つの品種、丘の上の標高の帯、木樽での最低熟成期間を固定しています。キアンティの規則はサンジョヴェーゼを主体に、ほかの品種の割合を定めています。白ブドウはかつての義務から、上限を下げた任意の扱いへと変わりました。
この記事が引く規則を並べたものです。バローロは一つの品種、丘の上の標高の帯、土壌、木樽での最低期間を定め、キアンティの規則はサンジョヴェーゼから出発して他の品種の割合を定めます。空欄は、この記事がその規則を扱っていないことを示します。
- ブロッカルドはバローロ「イ・トレ・パイス」を約 24 か月オーク樽で熟成させ、最低の 18 か月より長くとっています。
図の内容を文章・表で読む
| バローロ DOCG | キアンティ | |
|---|---|---|
| 品種 | ネッビオーロのみ | サンジョヴェーゼを主体に、他の品種も認められる |
| 白ブドウ | なし | 1967 年の DOC 規則では 10〜30% が義務;現在はトレッビアーノ・トスカーノとマルヴァジーアが最大 10% |
| 産地と畑 | ランゲの 11 のコムーネ;斜面だけで、谷底は除く | トスカーナ |
| 標高と向き | 170〜540 m;新植は北向き(真北から −45°〜+45°)にしない | — |
| 土壌 | 粘土質、石灰質、またはその両方 | — |
| 最低熟成 | 収穫年の 11 月 1 日から 38 か月、うち木樽で 18 か月;リゼルヴァは 62 か月 | — |
二つを並べて味わう
「イ・トレ・パイス」は、香りが豊かで果実味があり、わずかにスパイシー、味わいは辛口でフルボディ、ややタンニンがあり調和がとれています(ブロッカルド)。こうした説明は造り手自身のものです。読むのは味わったあとにしましょう。
バローロとキアンティを並べて味わうときは、ラベルや説明を読む前に、観察したことを書き留めます。縁と中心の色の違い、タンニンが歯ぐきをどれくらい早く乾かすか、舌のどこで感じるか、酸がどれほど唾液を誘うか。そのうえで、メモを規則と照らし合わせます。38か月以上熟成させる単一品種のワインと、ほかの品種も認められるサンジョヴェーゼ主体のワインです。
記述演習1:バローロを丘に結びつける規則
【設問】
バローロの生産規則が、このワインをランゲの丘にどのように結びつけているかを説明しなさい。要件を四つ以上挙げ、それぞれが何を除外しているかも述べること。
【模範解答】
バローロはネッビオーロだけで造らなければならない。畑は丘の斜面に限られ、谷底や湿った土地、平地、日当たりの不十分な土地は除外される。標高は海抜170〜540メートルで、最も低い土地と最も高い土地の両方が外れる。新しく植える畑は北向き(真北から−45°〜+45°)を除く。土壌は粘土質、石灰質、またはその混合とされる。さらに、収穫年の11月1日から38か月以上(そのうち木樽で18か月以上)熟成させなければならない(リゼルヴァは62か月)。
【採点基準(10点)】
・単一品種:ネッビオーロ100%(2点)
・斜面に限ることと、除外される土地(2点)
・標高170〜540メートルの帯(2点)
・北向きの新植の除外(2点)
・土壌の種類または熟成の最低期間を正しく述べている(2点)
記述演習2:地質の資料を批判的に読む
【設問】
バローロの地域にはレクイオ層とディアーノ砂岩がある。それぞれがつくる土壌を比べ、バローロの地域のどこに見られるかを述べ、これらの説明だけでは、あるコムーネのバローロが特定のスタイルを持つことの証明にならない理由を説明しなさい。
【模範解答】
レクイオ層では粘土質の泥灰岩と、より少ない砂が交互に重なり、粘土をかなり含むシルト質で、はっきり石灰質の土壌をつくる。これはセッラルンガ・ダルバの中部から南部と、モンフォルテ・ダルバの東斜面に位置する。ディアーノ砂岩は海底地すべりで堆積したトルトニアンの砂の層で、砂が非常に多く、石灰分が少なめで粘土の少ない土壌をつくり、モンフォルテ・ダルバ、カスティリオーネ・ファッレット、バローロ、ディアーノ・ダルバ周辺に見られる。これらの説明は岩と土の性質についてのものである。ワインのスタイルは、標高(バローロでは170〜540メートルの範囲)、向き、三つの尾根がつくる微気候、収穫年、醸造にも左右される。したがって地層とスタイルの結びつきを示すには、これらの要因をそろえてワインを比べる証拠が必要である。
【採点基準(10点)】
・レクイオ層:土の質感と石灰分を正しく説明している(3点)
・ディアーノ砂岩:成因、質感、石灰分を正しく説明している(3点)
・それぞれの分布(2点)
・スタイルに影響しうるほかの要因を二つ以上挙げ、条件をそろえた比較の必要性を述べている(2点)
場所と規則
- 海抜170〜540メートルの斜面の畑。北向きの新植は不可
- トルトニアンの砂と青灰色の泥灰岩の上の、粘土質または石灰質の土壌
気候と成熟
- アルプスからの気流と、タナロ川の谷から上る暖かく湿った空気
- ネッビオーロは遅く、10月前半に熟す
セラーとラベル
- 38か月以上の熟成、うち18か月は木樽
- バローロに使えるのはネッビオーロだけ
よくある質問
バローロDOCGの規則は何を求めていますか?
バローロは、海抜170〜540メートルの斜面にあり、粘土質または石灰質の土壌の畑で育てたネッビオーロだけから造ります。北向きの新植は認められません。収穫年の11月1日から38か月以上、そのうち18か月以上を木樽で熟成させる必要があり、リゼルヴァは62か月以上です。
ネッビオーロという名前の由来は?
霧(ネッビア)に結びつく二つの説明があります。果粉が厚く実が霧をかぶったように見えるため、あるいは10月前半に熟す遅い品種で、収穫が秋の最初の霧の時期にあたるためです。
バローロの畑の下にはどんな岩がありますか?
地域の大部分は層をなす砂と青灰色の泥灰岩からなるトルトニアンの地層に属します。ランゲの地層としては、サンタガタ・フォッシリ泥灰岩、レクイオ層(粘土を含むシルト質で石灰質の土壌)、ディアーノ砂岩(砂が非常に多く石灰分の少ない土壌)が挙げられています。
キアンティの白ブドウの規則はどう変わりましたか?
1967年のキアンティDOCの規則は、サンジョヴェーゼを主体に、白ブドウのトレッビアーノとマルヴァジーアを10〜30%含むよう定めていました。現在のキアンティDOCGの規則では、これらの白ブドウは最大10%までです。
