ソーテルヌの位置とアペラシオンの範囲
ソーテルヌはボルドーの南東約40キロ、ガロンヌ川の谷にあります。アペラシオンの規則は、ブドウの収穫とワインの醸造・熟成を、ジロンド県の5つのコミューン、バルサック、ボンム、ファルグ、プレニャック、ソーテルヌに限っています。バルサックには独自のアペラシオンもあります。
ソーテルヌは甘口の白ワインです。規則は、貴腐がついた過熟のブドウを、畑を何度も回る手摘みの選果(トリ、tries)で収穫することを求めています。ソーテルヌとバルサックの畑はおよそ2,200ヘクタールです。
本稿は、川の霧から果粒へ、さらにワインを定める規則へと、因果の順にたどります。
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接写:しなびて、かびに覆われた果粒
画像:Maison Apéro(生成画像) · Maison Apéro original
テロワール:土壌・起伏・標高・畑の向き
斜面を特徴づけるのは砂利(グラーヴ)です。ソーテルヌの砂利はピレネー山脈と中央山塊から削り取られ、ガロンヌ川とその支流によって運ばれてきたものです。大きさ1センチから数センチの小石が、石灰質または粘土質の、主に砂からなる基質に混じっています。
浸食によってこの砂利は、標高15〜60メートルの起伏のゆるやかな丘(クルップ、croupes)になりました。シロン川の右岸では、プレニャック、ファルグ、ソーテルヌ、ボンムの4コミューンが傾斜した台地の上にあり、その基盤は第三紀の貝殻石灰岩、泥灰岩、粘土質の砂です。
畑は東南東を向き、自然の通風に恵まれています。湿った夜のあとにブドウを乾かす必要があるため、ここでは空気の動きが大きな意味を持ちます。次節で説明します。
気候:シロン川、ガロンヌ川と秋の霧
シロン川はランド地方に源を発する小さな川で、ソーテルヌ地区でガロンヌ川に合流します。その水はガロンヌ川より冷たく、両者が合流する地点では凝結によって豊かな湿気が生まれます。こうして生じる秋の霧は、ボトリティス・シネレアの発生を促します。
このアペラシオンの特徴は、湿った夜と、日中の速く力強い通風の繰り返しです。湿った時間帯に菌が熟したブドウに定着し、乾く時間帯が感染を破壊的な腐敗へ進ませません。どちらか一方だけでは貴腐は生まれません。
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ブドウの房と川霧
画像:Maison Apéro(生成画像) · Maison Apéro original
貴腐か灰色かび病か:天候が分かれ目
ボトリティス・シネレアは灰色のかびです。感染には湿った条件が必要で、ブドウはふつう熟した段階で感染します。その後どうなるかは天候しだいです。湿った天候が続けば、感染は有害な形の灰色かび病となり、収穫を壊滅させることがあります。
感染した熟果がその後乾いた条件にさらされると、果粒は部分的に干しブドウ状になります。これが有益な形、貴腐です。適切な時期に摘んだこうしたブドウからは、とりわけ凝縮した甘口ワインが生まれます。ソーテルヌはまさにこの結果、すなわちブドウを凝縮させる貴腐に支えられています。
次の図は、同じ菌がたどる二つの結末を並べたものです。
ガロンヌ川より水の冷たいシロン川が合流するあたりでは、秋の湿った夜と霧のなかでボトリティス・シネレアが熟したブドウに定着します。そのあと乾いた日中が続けば果粒はしなびて貴腐になり(左)、湿った天候が続けば灰色かび病になります(右)。形と色は説明のための表現で、丘の高さや川幅の比は実際どおりではありません。
図の内容を文章・表で読む
- 川の合流点に霧 — ガロンヌ川より水の冷たいシロン川が合流し、凝結で豊かな湿気と秋の霧が生まれ、ボトリティスの発生を促す
- 砂利の丘(クルップ)15〜60 m — 主に砂の基質に小石が混じる、ゆるやかな丘。東南東向きの畑で風が通る
- 乾く日中:貴腐 — 感染した熟果が部分的に干しブドウ状になって凝縮。何度にも分けて手摘みする(トリ)
- 湿ったまま:灰色かび病 — 乾く時間帯がないと、感染は有害な形になり、収穫を壊滅させることもある
品種、収穫、アペラシオンの規則
認められている品種は、セミヨン、ソーヴィニヨン・ブラン、ソーヴィニヨン・グリ、ミュスカデルの4つです。セミヨンが主要品種です。
規則は、貴腐がついた過熟のブドウを、何度にも分けた手摘み(トリ)で収穫することを求めています。果汁1リットルあたりの糖分が221グラムに満たないブドウは適熟とみなされず、収量は1ヘクタールあたり25ヘクトリットルに定められています。
ワインは最低15%の天然アルコール度数に達しなければならず、樽売り・瓶詰めのワインは発酵性糖(ブドウ糖と果糖)を1リットルあたり45グラム以上含む必要があります。これらの下限が合わさることで、ソーテルヌはブドウの糖の一部を甘みとして残すことになります。
ソーテルヌのアペラシオン規則の要件です。格付けの有無にかかわらず、ソーテルヌと表示するすべてのワインが満たす必要があります。
図の内容を文章・表で読む
| 要件 | 対象 | |
|---|---|---|
| 地域 | バルサック、ボンム、ファルグ、プレニャック、ソーテルヌ | 収穫・醸造・熟成 |
| 品種 | セミヨン(主要品種)、ソーヴィニヨン・ブラン、ソーヴィニヨン・グリ、ミュスカデル | 畑 |
| 収穫 | 手摘み、何度にも分けた選果(トリ) | 摘み取り |
| 熟度 | 過熟で、貴腐がついていること | 収穫時のブドウ |
| 糖分 | 果汁1リットルあたり221 g以上 | 収穫時のブドウ |
| 収量 | 25 hl/ha | 畑 |
| 天然アルコール度数 | 15%以上 | ワイン |
| 発酵性糖 | 45 g/L以上(ブドウ糖+果糖) | 樽売り・瓶詰めのワイン |
1855年:独立した格付けとシャトー・ディケム
1855年のボルドーワイン格付けは、ソーテルヌとバルサックの甘口白ワインを、赤ワインとは別の表で格付けしました。その中でシャトー・ディケムだけが、第1級の上に置かれるプルミエ・クリュ・シュペリュール(Premier Cru Supérieur)の格を与えられました。
格付けはシャトーを対象としたもので、アペラシオンの規則を変えるものではありません。格付けの有無にかかわらず、ワインをソーテルヌとして表示するすべての生産者は、同じ規則に従います。格付けそのものは別の記事で解説しています。
グラスの中で:何を観察するか
まず甘さとバランスを見ます。ソーテルヌは1リットルあたり45グラム以上の糖を含むので、問うべきは甘いかどうかではなく、酸がその甘さを生き生きと保っているか、重く感じさせているかです。
次に色と香りを自分の言葉で記述します。色が淡い金色と深い琥珀色のどちらに近いか、実際にどんな香りを感じるかを書き留めましょう。生産者の説明を読む前に観察を書けば、ノートはラベルではなくワインそのものの記録になります。
演習1:霧はどのように貴腐を助けるか
【設問】
シロン川とガロンヌ川の合流と一日の天候の推移が、ボトリティス・シネレアを灰色かび病ではなく貴腐へ導く仕組みを説明しなさい。
【模範解答】
シロン川の水はガロンヌ川より冷たく、両者が合流する地点では凝結によって豊かな湿気が生まれ、秋には霧が発生する。夜から朝にかけてのこの湿った時間帯に、ボトリティス・シネレアが熟したブドウに定着する。日中は、畑の東南東向きにも助けられた速く力強い通風がブドウを乾かす。湿った時間帯のあとに乾燥が続くため、感染した果粒は部分的に干しブドウ状になって凝縮する(貴腐)。湿った天候が続けば、感染は有害な灰色かび病に変わる。
【自己採点のポイント】
・川の合流点で霧が生じる理由を説明したか
・湿気と菌の定着を結びつけたか
・日中の乾燥こそが腐敗を貴腐にとどめる理由を説明したか
演習2:規則は何を求めているか
【設問】
ソーテルヌのアペラシオンの規則が収穫とワインの甘さをどのように管理しているかをまとめ、その数値が何を意味するかを説明しなさい。
【模範解答】
ブドウは、貴腐がついた過熟の状態で、何度にも分けた手摘み(トリ)によって収穫しなければならない。果汁1リットルあたりの糖分が221グラム未満のブドウは適熟とみなされず、収量は1ヘクタールあたり25ヘクトリットルに定められている。ワインは最低15%の天然アルコール度数に達し、発酵性糖を1リットルあたり45グラム以上残さなければならない。収穫時の高い糖度の基準と残糖の下限が合わさって、凝縮したブドウから造られる甘口ワインであることが保証される。25 hl/haの収量と繰り返しの手摘みは、規則が求める選別の厳しさを表している。
【自己採点のポイント】
・手摘みによる複数回の選果と貴腐に触れたか
・収穫時の糖度の基準と収量を単位とともに示したか
・最低天然アルコール度数と残糖の下限、そして両者が合わさった意味を述べたか
立地
- 冷たいシロン川と温かいガロンヌ川の合流:秋の霧
- 東南東向きの畑と日中の通風がブドウを乾かす
果粒の中
- 湿気の中でボトリティス・シネレアが熟果に定着
- 乾燥で感染が貴腐に:果粒が干しブドウ状に凝縮
ワインの中
- 何度にも分けた手摘み(トリ)
- 糖分45 g/L以上の甘口ワイン
よくある質問
ソーテルヌはどこにあり、畑の広さはどれくらいですか?
ボルドーの南東約40キロ、ガロンヌ川の谷にあります。収穫・醸造・熟成はジロンド県の5つのコミューンに限られ、ソーテルヌとバルサックの畑はおよそ2,200ヘクタールです。砂利は標高15〜60メートルのゆるやかな丘(クルップ)をなし、畑は東南東を向いています。
ソーテルヌではなぜ霧が出るのですか?
ランド地方に源を発する小さなシロン川は、合流先のガロンヌ川より水が冷たく、両者が出会う地点では凝結によって豊かな湿気と秋の霧が生まれます。湿った夜のあとに日中の力強い通風が続くことで、貴腐が育ちます。
ソーテルヌのアペラシオンの規則は何を定めていますか?
バルサック、ボンム、ファルグ、プレニャック、ソーテルヌの5コミューンで、セミヨン、ソーヴィニヨン・ブラン、ソーヴィニヨン・グリ、ミュスカデルを使い、貴腐のついた過熟のブドウを何度にも分けて手摘みします。ブドウの糖分は221 g/L以上、収量は25 hl/haと定められ、ワインは天然アルコール度数15%以上、発酵性糖45 g/L以上が必要です。
1855年の格付けで、ソーテルヌの最上位はどのシャトーですか?
シャトー・ディケムです。ソーテルヌとバルサックの甘口ワインを赤ワインとは別に格付けした1855年の格付けで、ただ一つプルミエ・クリュ・シュペリュールに位置づけられました。
あわせて読む:貴腐とは何ですか。(貴腐ワインの国別比較:ソーテルヌ、ロワール、アルザス、ドイツ、オーストリア、トカイ)
