二つのアペラシオン、二つの赤ワインの組み立て方
この記事は、ローヌ渓谷の北と南から二つの赤ワイン、北のコート・ロティと南のシャトーヌフ・デュ・パプを比べます。どのブドウを使えるかは、それぞれのアペラシオンの生産基準書(カイエ・デ・シャルジュ)が定めています。
比較は三つの層に分け、最後まで混ぜずに進めます。一つ目は、生産基準書から引いた規定。二つ目は、シラーの胡椒のような香りのもとになる化合物など、研究が示していること。三つ目は、花崗岩の斜面や丸石と熱についてよく語られる説明です。これらは測定された事実としてではなく、語られている説明として扱います。
コート・ロティ:シラーと、その中に植えられたヴィオニエ
コート・ロティは赤ワインだけのアペラシオンです。主品種はシラー、唯一の補助品種は白ブドウのヴィオニエです。シラーは植えられた樹の80%以上でなければならず、ヴィオニエは最大20%まで、しかもシラーの区画の中に混ぜて植える(混植)場合に限られます。独立したヴィオニエの畑は認められません。
規定は醸造にも及びます。二つの品種は、完成したワイン同士ではなくブドウの段階で合わせて一緒に醸造され、ワインもシラーが80%以上でなければなりません。ヴィオニエを後から別の白ワインとして加えることはできず、収穫したブドウとして仕込みに入ります。
なぜ赤ワインに白ブドウを残すのでしょうか。よく挙げられる説明は二つあります。ヴィオニエ自身の香りと、白ブドウの果皮に含まれる無色の成分が赤い色を安定させ深めるという「コピグメンテーション(共色素効果)」です。ただし、どちらもコート・ロティで確立した効果ではなく仮説として扱い、個々のワインのヴィオニエの割合も推測しないでください。
コート・ロティの生産基準書から要約しました。淡い色の房がヴィオニエの樹で、シラーの列の中に、規定の上限20%で描いています。ブドウは一緒に仕込みに入るため、ヴィオニエを後から別のワインとして加えることはできません。見やすさのため地面は平らに描き、斜面や岩は表していません。形と色は説明のための表現です。
図の内容を文章・表で読む
- シラー — 主品種。植えられた樹の80%以上
- ヴィオニエ — 唯一の補助品種。最大20%で、シラーの区画の中に植える
- 一緒に醸造する — 完成したワインではなくブドウの段階で合わせる
- 赤ワインのみ — 完成したワインはシラーが80%以上
シャトーヌフ・デュ・パプ:13品種、18の名前
シャトーヌフ・デュ・パプは赤と白の両方を対象とします。規則が挙げるブドウの名前は18あります。そのうち三つの品種は複数の色で記載されており、グルナッシュとピクプールはそれぞれ三つ、クレレットは二つの色で登場するため、品種ごとに一つと数えると、このアペラシオンについてよく言われる13品種になります。コート・ロティの規定が挙げる品種は、これに対して二つだけです。
GSMは、グルナッシュ、シラー、ムールヴェードルを主体にしたブレンドを指す通称で、三つともこのリストに入っています。規定が認める組み合わせは多いため、ラベルに「シャトーヌフ・デュ・パプ」とあっても、その瓶の品種構成は分かりません。それが分かるのは、生産者自身が公表した情報だけです。
各アペラシオンの生産基準書から要約しました。規定はどのブドウを使えるかを定めますが、個々の瓶のブレンドまでは分かりません。
図の内容を文章・表で読む
| コート・ロティ | シャトーヌフ・デュ・パプ | |
|---|---|---|
| 対象のワイン | 赤のみ | 赤と白 |
| 規定のブドウ | シラーとヴィオニエ | 18の名前で13品種 |
| シラー | 主品種:樹の80%以上 | 認められた品種の一つ |
| ヴィオニエ | 補助品種:最大20%、混植 | リストにない |
| グルナッシュ | リストにない | 黒・白・グリで記載 |
花崗岩の斜面と丸石
コート・ロティを含む北ローヌの畑は、花崗岩や片岩・片麻岩などの結晶質の岩の上の急な段々畑です。シャトーヌフ・デュ・パプの周辺では、多くの畑が大きな丸石「ガレ・ルレ」に覆われています。
ガレ・ルレは、昼に熱をため夜に放ってグルナッシュの成熟を助ける、とよく言われます。物理的にはありうる話ですが、これらの畑での効果の大きさを判断するには測定が必要です。
標高と畑の向き(斜面がどちらを向いているか)は、テロワールを比べるなら欠かせない項目です。
AI
·
丸石の上の古い株仕立て
画像:Maison Apéro(生成画像) · Maison Apéro original
ミストラル
ミストラルは、ローヌ渓谷とプロヴァンスの地方風です。乱流が強く、多くは乾いた風です。一年中吹きうるものの冬と春に最も多く、平均時速50キロで吹くことがあり、突風は時速80〜100キロ、ときにはそれ以上に達します。
乾いた風なので、雨のあとに葉や房が早く乾き、カビによる病害の危険を下げます。この記事はその効果の測定値を示さず、病害の出やすさや有機栽培のしやすさで、ローヌを他の産地と比べることもしません。
AI
·
段々畑と丸石
画像:Maison Apéro(生成画像) · Maison Apéro original
シラーの胡椒:ロタンドン
シラーによく感じられる黒胡椒の香りには、化学的な名前があります。2014年に『American Journal of Enology and Viticulture』に掲載されたブドウとワインの香りの総説は、セスキテルペンの一種であるロタンドンを、ワインの黒胡椒の香りの原因となる強力な化合物としています。同じ総説は、畑の条件が香りの成分にどう影響するかも論じています。
「花崗岩や酸性の土壌がシラーにロタンドンを多く作らせる」と言われることがありますが、その関係は確立されていません。胡椒の香るコート・ロティが示すのはロタンドンであって、特定の岩ではありません。
二つを並べてテイスティングする
コート・ロティと赤のシャトーヌフ・デュ・パプを並べて味わい、メモを三つの欄に分けると役に立ちます。一つ目の欄には、観察したことだけを書きます。色の濃さ、赤い果実・黒い果実・胡椒・ハーブ・花といった香りのグループ、そして酸、タンニン、アルコール、ボディです。
二つ目の欄には、規定から推論できることを書きます。コート・ロティはシラーが80%以上で、ヴィオニエを含むことがあります。赤のシャトーヌフ・デュ・パプは、はるかに長いリストに載った品種から造られます。三つ目の欄には、グラスからも規定からも分からないこと、つまり正確なブレンド、その年の天候、醸造を挙げます。どちらのワインに胡椒を感じても、それはロタンドンの手がかりであって、土壌の種類の証拠ではありません。
演習:設問、模範解答、採点基準
【設問(Maison独自の練習問題。公式試験の問題ではありません)】
コート・ロティとシャトーヌフ・デュ・パプの規定が、それぞれの赤ワインの品種構成をどう形づくるかを比べ、二つの産地についてよく語られる説明のうち、確立されていないものを挙げなさい。
【模範解答】
コート・ロティは赤ワインだけのアペラシオンである。主品種のシラーは植えられた樹の80%以上でなければならず、唯一の補助品種のヴィオニエは最大20%で、シラーの区画への混植に限られる。二つは一緒に醸造され、ワインもシラーが80%以上でなければならない。シャトーヌフ・デュ・パプは赤と白を造り、18のブドウの名前を挙げており、通常は13品種と数えられる。グルナッシュ、シラー、ムールヴェードルもその中に含まれるが、アペラシオン名だけでは瓶ごとの比率は分からない。ロタンドンはセスキテルペンで黒胡椒の香りの原因物質だが、土壌の種類が原因だとは確立されていない。確立されていない説明には、コート・ロティでのヴィオニエのコピグメンテーションが実証された効果だという説、ガレ・ルレの蓄熱が成熟を早めるという測定された効果、胡椒の香りの原因を土壌の種類とする説がある。
【採点基準(10点)】
・コート・ロティの規定:赤のみ、シラー80%以上、ヴィオニエ最大20%、混植して一緒に醸造(4点)
・シャトーヌフ・デュ・パプの規定:赤と白、13品種または18の名前、名前だけでは比率が分からない(3点)
・ロタンドンを正しく挙げ、土壌の種類を原因としない(1点)
・確立されていない説明を二つ以上正しく指摘する(2点)
規定が定めること
- コート・ロティ:赤のみ。シラーに、混植して一緒に醸造するヴィオニエを最大20%
- シャトーヌフ・デュ・パプ:赤と白。18の名前で13品種
語られていること
- 北の花崗岩の斜面、南の丸石
- 石の蓄熱
グラスが示しうること
- 黒胡椒はロタンドンの手がかりで、土壌の種類の証拠ではない
- 正確なブレンドと年の条件は、生産者の情報で確かめる
よくある質問
コート・ロティではなぜ赤ワインに白ブドウを使えるのですか?
規則は、唯一の補助品種としてヴィオニエを認めています。植えられた樹の最大20%まで、シラーの区画に混植し、シラーと一緒に醸造する場合に限られ、ワインもシラーが80%以上でなければなりません。理由としてヴィオニエの香りと色への効果(コピグメンテーション)がよく挙げられますが、どちらも確立した効果ではありません。
シャトーヌフ・デュ・パプでは何種類のブドウが認められていますか?
規則は18のブドウの名前を挙げています。グルナッシュとピクプールはそれぞれ三つ、クレレットは二つの色で記載されており、品種ごとに一つと数えると、よく言われる13品種になります。このアペラシオンは赤と白の両方を対象としています。
シラーの黒胡椒の香りは何から来るのですか?
2014年の『American Journal of Enology and Viticulture』の総説は、セスキテルペンの一種ロタンドンを、ワインの黒胡椒の香りの原因物質としています。花崗岩や酸性の土壌が原因だとは確立されておらず、胡椒の香りは特定の土壌の証拠になりません。
ミストラルはどのくらい強い風ですか?
ミストラルは乱流が強く多くは乾いた地方風で、平均時速50キロで吹くことがあり、突風は時速80〜100キロ、ときにはそれ以上になります。一年中吹きうるものの、冬と春に最も多く吹きます。
