エルギンの位置と原産地制度上の区分
南アフリカのワイン・オブ・オリジン制度で、エルギンは西ケープ地理的単位のケープ・サウス・コースト地域に属する「地区(district)」です。SAWIS(南アフリカワイン産業情報システム)が2023年10月に公表した生産地域の一覧に、この区分で載っています。
谷はケープタウンの東約70kmにあり、周囲を山に囲まれています。生産者団体ワインズ・オブ・エルギンはエルギンを南アフリカで最も冷涼なワイン産地と紹介していますが、これは団体自身の表現で、測定に基づく順位ではありません。
リンゴ園からブドウ畑へ
エルギンはワインより先に果樹の産地でした。その歴史は1896年にクルーヴァー家がデ・ルスト農場でリンゴの栽培を始めたところから始まり、この地域はもともとリンゴの産地で、ブドウ栽培は比較的新しいものです。
1980年代半ば、ワイン産業のための国立研究所ニートフォールバイ(Nietvoorbij)の研究者が、エルギンをブドウがゆっくり熟す冷涼な産地の候補として挙げ、ブルゴーニュに似た果実の性格が期待できるとしました。1986年にポール・クルーヴァー博士がエルギン最初のブドウを植え、1990年にエルギンはワイン・オブ・オリジンの「区(ward)」に指定されました。現在のSAWISの一覧(2023年10月)では、ケープ・サウス・コースト地域の地区として載っています。
エルギンではリンゴ栽培がブドウ畑より先にありました。年はワインズ・オブ・エルギンとSAWISの生産地域一覧によります。
図の内容を文章・表で読む
- 1896 — クルーヴァー家がデ・ルスト農場でリンゴ栽培を始める
- 1986 — ポール・クルーヴァーがエルギン最初のブドウを植える. 1980年代半ばには、ニートフォールバイの研究者もエルギンを冷涼産地の候補に挙げた
- 1990 — エルギンがワイン・オブ・オリジンの区に指定される
- 2023 — SAWISの一覧でケープ・サウス・コースト地域の地区として掲載. 参照した生産地域一覧の日付(2023年10月)。地区になった年ではない
風と雲、そして長い成熟期間
風と、風がもたらす雲が、エルギンの気候を形づくっています。夏には冷たい大西洋から南東の海風が吹き込み、「ブラック・サウスイースター」と呼ばれる南東風は、収穫前から収穫期にかけて雲をもたらします。沿岸性の気候と南東風によって谷は極端な気温から守られ、昼夜の気温差がはっきりしています。
霧と低い雲が日差しを和らげると、樹冠(キャノピー)の温度が下がり、成熟期間が延びます。ワインズ・オブ・エルギンによれば、成熟は秋に近い時期へずれ込み、糖の蓄積がゆっくり進むため、ブドウはより多くの香りと風味を蓄えながら、高い酸を保つことができます。
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畑での屈折計
画像:Maison Apéro(生成画像) · Maison Apéro original
地形・標高
エルギンは山に囲まれた谷で、ブドウ畑の斜面は海抜約250〜500mまで上がり、この高さが冷涼さで知られる理由と結びつけられています(ワインズ・オブ・エルギン)。
夏には冷たい大西洋から南東の海風が吹き込み、収穫前から収穫期には「ブラック・サウスイースター」が雲をもたらします。海面を基準に縮尺どおりなのは標高約250〜500mのブドウ畑の帯だけで、山の高さ・距離・見る向き・形と色は説明のためのものです。
図の内容を文章・表で読む
- ブラック・サウスイースター — 収穫前から収穫期にかけて雲をもたらす南東風
- 和らいだ日差し — 霧と低い雲が樹冠の温度を下げて成熟を長引かせ、ブドウは酸を保つ
- ブドウ畑の斜面:約250〜500m — 2本の点線のあいだ。海面からの高さは縮尺どおり
- 夏の海風 — 冷たい大西洋から吹き込む南東の風
土壌:ボッケフェルト頁岩とテーブルマウンテン砂岩
エルギンの土壌はさまざまな種類が混ざったもので、なかでも水はけのよいボッケフェルト頁岩とテーブルマウンテン砂岩に由来する土壌が最も多くなっています。どちらの岩石もケープ超層群に属します。
テーブルマウンテン層群は中期オルドビス紀から前期デボン紀、ボッケフェルト層群は前期から中期デボン紀にあたります。テーブルマウンテン層群は純度の高い珪岩が主体で、その上に整合に重なるボッケフェルト層群は泥岩が主体です。つまりボッケフェルト頁岩はデボン紀の岩石です。
これらの年代は層群全体についてのものです。
どちらの層群もケープ超層群に属します。年代と主な岩石は層群全体の説明で、個々の畑の下にどの層群があるかは地質図で確かめます。
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| テーブルマウンテン層群 | ボッケフェルト層群 | |
|---|---|---|
| 年代 | オルドビス紀中期からデボン紀前期 | デボン紀前期から中期 |
| 主な岩石 | 純粋な珪岩 | 泥岩:いわゆる「ボッケフェルト頁岩」 |
| 重なりの位置 | 古く、下にある | 若く、整合して上に重なる |
| エルギンの土壌 | テーブルマウンテン砂岩に由来する水はけのよい土壌 | ボッケフェルト頁岩に由来する水はけのよい土壌;両者が最も優勢 |
| 所属 | ケープ超層群 | ケープ超層群 |
ブドウ品種と、グラスで確かめること
エルギンの冷涼な気候に最もなじむ品種はソーヴィニヨン・ブラン、シャルドネ、ピノ・ノワールで、リースリング、メルロ、シラーも栽培されています(ワインズ・オブ・エルギン)。
上に述べた気候からは、テイスティングで確かめられる点が二つ出てきます。酸の高さと、香りと風味の強さです。これは産地名が約束するものではなく、1本ごとに確かめる問いとして扱ってください。ヴィンテージ、区画、醸造で結果は変わります。
演習1:風・雲・酸
【設問】
エルギンの風と雲が、シャルドネとピノ・ノワールの成熟にどう影響し、それが酸と香りにとって何を意味するかを説明しなさい。
【模範解答】
夏には冷たい大西洋から南東の海風が吹いて畑を冷やし、「ブラック・サウスイースター」は収穫前から収穫期にかけて雲をもたらす。霧と低い雲が日差しを和らげ、樹冠の温度を下げて成熟期間を延ばす。成熟が秋寄りにずれ、糖の蓄積がゆっくり進むため、ブドウは高い酸を保ちながら香りと風味を蓄えられる。
【採点基準(6点)】
・夏の海風と、南東風がもたらす雲を挙げている(2点)
・和らいだ日差しを、樹冠温度の低下と成熟期間の延長に結びつけている(2点)
・糖の蓄積が遅く、酸が保たれ、香りと風味が増すことを説明している(2点)
演習2:二つの岩石層群
【設問】
エルギンで主要なブドウ畑の土壌のもとになっている二つの岩石層群を挙げ、古い順に並べ、主な岩石の違いを比べなさい。
【模範解答】
テーブルマウンテン砂岩とボッケフェルト頁岩に由来する土壌が最も多い。テーブルマウンテン層群のほうが古く(中期オルドビス紀〜前期デボン紀)、純度の高い珪岩が主体である。ボッケフェルト層群はその上に重なり、より新しく(前期〜中期デボン紀)、泥岩が主体である。どちらも水はけのよい土壌になる。
【採点基準(6点)】
・二つの層群を挙げている(2点)
・古い順と地質時代を正しく示している(2点)
・珪岩と泥岩の違いと、水はけのよさに触れている(2点)
畑
- 山に囲まれた谷、標高約250〜500mの斜面
- 夏の海風と収穫前の雲
- 水はけのよい頁岩・砂岩の土壌
樹
- 和らいだ日差しで樹冠の温度が下がる
- 成熟が秋寄りに延びる
- 糖がゆっくり蓄積する
グラス
- 高い酸が保たれる
- 香りと風味が増す
- 1本ごとにテイスティングで確かめる
よくある質問
エルギンはどこにあり、制度上どのような産地ですか?
南アフリカ西ケープ州のケープ・サウス・コースト地域に属するワイン・オブ・オリジンの地区で、ケープタウンの東約70kmにあります。1990年に区(ward)に指定され、2023年10月のSAWISの一覧では地区として載っています。
エルギンはなぜ冷涼なのですか?
標高(斜面は約250〜500m)、冷たい大西洋から吹く夏の南東の海風、そして収穫前から収穫期に「ブラック・サウスイースター」がもたらす雲が、エルギンを冷涼にしています(ワインズ・オブ・エルギン)。雲は日差しを和らげ、樹冠の温度を下げ、成熟期間を延ばします。
エルギンで知られるブドウ品種は何ですか?
冷涼な気候に最もなじむ品種はソーヴィニヨン・ブラン、シャルドネ、ピノ・ノワールで、リースリング、メルロ、シラーも栽培されています(ワインズ・オブ・エルギン)。
