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ポートワインとドウロ:発酵を止める時期と、ルビーとトウニーの熟成の分かれ道

ポートワインは、発酵の途中でアルコール度数77%のブドウ蒸留酒を加えて造られます。この一手が甘さと度数をどう決めるのか、ルビーとトウニーの熟成がなぜ大きく異なるのかを解説します。

ポートワイン(Vinho do Porto)とは、ポルトガルのドウロ指定地域で造られ、発酵の途中にアルコール度数77%のブドウ蒸留酒を加えて発酵を止め、ブドウ由来の糖分の一部をワインに残す酒精強化ワインです。

学習テーマ:醸造

Maison Media Editorial · 公開日 · 更新日

夕暮れの川の湾曲部と両岸の段々畑。水面には帆船が2艘、内側の岸には赤い屋根の白い建物、手前の石の手すりには赤ワインの入ったグラス
川の湾曲部の両岸に広がる段々畑と、水面を進む2艘の帆船。

画像:Maison Apéro(生成画像) · Maison Apéro original

ポルトガルの地図。ピンがドウロ(Douro)の位置を示すドウロ(Douro)とその周辺の地図。ピンがドウロの位置を示す
ドウロ(Douro) · ポルトガル地図:Maison Apéro(Natural Earth のデータに基づく。パブリックドメイン)

ポートワインとは何か、誰が規則を定めるのか

ポートワインは、ポルトガル北東部のドウロ指定地域で育ったブドウから造られます。決定的な工程はセラーにあります。果醪がまだ発酵している間にブドウ蒸留酒を加えるため、酵母の働きが止まり、ブドウ本来の糖分の一部がワインに残ります。

この産地の規制の歴史は古く、1756年9月10日、ポンバル侯爵のもとでアルト・ドウロ・ブドウ栽培総合会社(Companhia Geral da Agricultura das Vinhas do Alto Douro)が設立され、ワインの産地と品質を保証する仕組みが作られました。1757年から1758年にかけて最初の境界が定められ、標石で示されました。現在はドウロ・ポートワイン協会(IVDP、Instituto dos Vinhos do Douro e do Porto)が、使用する蒸留酒の認証、特別カテゴリーの認定、毎年ポートワインにしてよい果醪の量の決定を担っています。2001年、ユネスコは「アルト・ドウロ・ワイン生産地域」を文化的景観として世界遺産に登録しました。

西の湿潤から東の乾燥へ:3つのサブリージョン

ドウロ指定地域はドウロ川流域の約250,000ヘクタールに広がり、3つのサブリージョンに分かれます。2020年時点で、西のバイショ・コルゴ(Baixo Corgo)が45,000ヘクタールで、うちブドウ畑が13,204ヘクタール(29%)、上流側でカシャン・ダ・ヴァレイラまで続くシーマ・コルゴ(Cima Corgo)が95,000ヘクタールでブドウ畑20,427ヘクタール(22%)、スペイン国境まで続くドウロ・スペリオール(Douro Superior)が110,000ヘクタールでブドウ畑10,077ヘクタール(9%)です。

マロン山地とモンテムロ山地が、西から来る湿った気団からこの地域を守っています。雨は東へ行くほど少なくなり、年間降水量はバイショ・コルゴのフォンテスで約1,200ミリ、ドウロ・スペリオールのバルカ・ダルヴァで約380ミリです。年平均気温は11.8〜16.5℃で、最も高いのはドウロ川沿いとその支流の谷、とくに北岸から合流する支流の谷です。

そのため同じ品種でも、地域の西端と東端では大きく異なる水の条件で熟すことになります。地域内の位置は、次の節で述べるIVDPの区画の採点でも評価項目の一つです。

西から東へ見たドウロ渓谷のイラスト。左の山地が湿った空気と雨を受け止め、川沿いにバイショ・コルゴ、シーマ・コルゴ、ドウロ・スペリオールが続き、斜面に段々畑の帯がある。雨は日の照る東へ向かって少なくなる

左が西。各サブリージョンの幅は総面積に、段々畑の帯の幅はブドウ畑の割合に合わせています(IVDPの2020年の数値)。雨は西から東へ少なくなります。山の高さ、形と色は説明のための表現です。

図の内容を文章・表で読む
  • マロン山地とモンテムロ山地 — 西からの湿った気団を防ぐ
  • バイショ・コルゴ(西) — 45,000ヘクタール、うちブドウ畑13,204ヘクタール(29%)。フォンテスの年間降水量は約1,200ミリ
  • シーマ・コルゴ(中央) — 95,000ヘクタール、うちブドウ畑20,427ヘクタール(22%)。上流のカシャン・ダ・ヴァレイラまで
  • ドウロ・スペリオール(東) — 110,000ヘクタール、うちブドウ畑10,077ヘクタール(9%)。バルカ・ダルヴァの年間降水量は約380ミリ

片岩、段々畑、区画ごとの採点

地域の大部分、とくにドウロ川と支流に沿った一帯は片岩(シスト)で、周縁部に花崗岩があります。ブドウ畑の土壌は人の手で大きく変えられてきました。段々畑を築く際に片岩を砕いたため、こうしてできた土壌は人為土(アンスロソル)に分類されます。多くは酸性でpHは4.6〜5.5、可給態リンが一般にきわめて少ない土壌です。フィロキセラ以前の最も古い段々畑は、片岩の石垣で支えられた狭く不規則な段です。

すべての区画が同じ割合でポートワインを造れるわけではありません。農学者アルヴァロ・モレイラ・ダ・フォンセカが1947年に提案した採点法に基づき、IVDPはブドウ畑の各区画を12の要素で採点します。要素には位置、標高、向き、傾斜、風よけ、土壌の性質、石の多さなどが含まれ、区画はAからFの等級に分けられます。

IVDPは毎年、ポートワインにしてよい果醪の量であるベネフィシオ(benefício)も、販売と在庫の動向を踏まえて定め、等級に応じて区画に配分します。単位はこの地域の伝統的な容量単位パイプ(pipa、550リットル)で、2026年のベネフィシオは76,000パイプ、2025年は75,000パイプでした。

ブドウ品種

2023年時点で、地域のブドウ畑で多い黒ブドウは次のとおりです。トゥーリガ・フランカが面積の25%(10,727ヘクタール)、ティンタ・ロリスが14.3%(6,163ヘクタール)、トゥーリガ・ナシオナルが10.3%(4,432ヘクタール)、ティンタ・バロッカが8.9%(3,828ヘクタール)、ティンタ・アマレラが3.1%(1,330ヘクタール)です。この地域の赤ワインを造る土着品種には、ティント・カンも含まれます。

トゥーリガ・ナシオナルは、果皮が厚くアントシアニンに富み、深い色をもたらす品種です。ポートワインではこの性質が重要になります。次の節で述べるとおり、果皮から色を引き出せる時間が短いからです。

ラガールでの足踏み:時間との競争になる抽出

赤ワインの醸造では、果皮と接したまま発酵する間に、色素とタンニンが果皮から液体へ移ります。ポートワインではこの時間が短く、蒸留酒は発酵開始から2〜3日後に加えられます。発酵は、目指すスタイルと甘さに応じて、アルコール度数6〜9%の段階で止められます。

短時間で抽出するための伝統的な道具がラガール(lagar)です。花崗岩でできた槽で、ブドウを足で踏み、果粒を潰しながら果皮を発酵中の果汁と混ぜ続けます。現在は、人の足の代わりに自動の踏み込み装置を備えたステンレス製のラガールを使う生産者もいます。

吊りランプに照らされた石壁の醸造所で、大きな石の槽に入った黒ブドウを3人の男性が素足で踏んでいる。奥には樽とステンレスタンク
石の槽で足踏みされるブドウと、奥に並ぶ樽とステンレスタンク。

画像:Maison Apéro(生成画像) · Maison Apéro original

ミュタージュ:蒸留酒が発酵を止める

果醪が生産者の望む甘さに達したところで、アグアルデンテ・ヴィニカ(aguardente vínica)と呼ばれるアルコール度数77%のブドウ蒸留酒を加えます。この蒸留酒は事前にIVDPの認証を受けなければなりません。添加量はIVDPが収穫ごとに定めます。2011年の上限は、ポートワインに適した果醪435リットルあたり蒸留酒115リットルでした。合わせて550リットル、つまり1パイプで、蒸留酒と果醪の比はおよそ1対4でした。2012年にIVDPはこの固定の上限に代えて、ポートワイン550リットルあたり蒸留酒65〜120リットルという幅を定めました。

加えた蒸留酒は発酵を中断させ、ブドウ本来の糖分の一部をワインに残します。完成したポートワインのアルコール度数はおよそ18〜22%です。蒸留酒を加える時期が早いほど多くの糖分が残るため、加える時期が甘さと度数を同時に決めることになります。ポートワインのアルコールのかなりの部分は、発酵ではなくこの蒸留酒に由来します。

醸造所のイラスト。発酵中の濃い果醪と果皮で満ちた花崗岩のラガール、ワインの流れに合流する透明なブドウ蒸留酒の矢印、その先で流れが分かれ、濃い赤のワインのグラスを添えた背の高い木製容器と、金色がかったトウニー色のグラスを添えた小さな樽の山へ向かう

蒸留酒は2〜3日後、6〜9%の段階で発酵中のワインに加わります(加える容器は描いていません)。酒精強化の後、ワインは酸素の少ない大型容器(ルビー)か、酸素を通す小さめの樽(トウニー)へ進みます。大きさ、形と色は説明のための表現です。

図の内容を文章・表で読む
  • 花崗岩のラガールで足踏み — 2〜3日間の発酵。色素とタンニンが果皮から液体へ移る
  • 77%のアグアルデンテ — ワインが6〜9%に達したところで加える。2012年の規則ではポートワイン550リットルあたり65〜120リットル
  • ルビー:大型の木製容器 — 酸素が少なく、色と果実味が保たれる。ヴィンテージは濃い赤
  • 約18〜22%のポートワイン — 発酵が止まり、ブドウの糖分の一部が残る。蒸留酒を早く加えるほど甘くなる
  • トウニー:小さめの木樽 — 酸素が入り、色は金色を帯びた赤からトウニー色へ移り、ナッツのような熟成香が生まれる

ルビー系:酸素を抑え、果実味と色を保つ

酒精強化の後、ポートワインは熟成中に触れる酸素の量によって二つに分かれます。ルビーとヴィンテージになるワインは大型の木製容器で熟成され、酸化が限られます。これは還元的な熟成と呼ばれます。ルビーとリザーブは通常、こうした大型容器で2〜3年熟成されます。LBVはそれより長くタンクで熟成され、収穫から4〜6年後に瓶詰めされます。

ヴィンテージ・ポートは単一年の収穫から造られます。瓶詰め前に木樽(通常は大型)または不活性の容器で熟成され、IVDPが収穫後2年目の1月から6月に認証し、3年目の7月30日まで瓶詰めできます。ヴィンテージは濃い赤色でフルボディのワインで、瓶詰め後も数十年にわたってゆっくりと変化を続けます。

レイト・ボトルド・ヴィンテージ(LBV)も単一年の収穫から造られますが、瓶詰めはもっと遅く、収穫後4年目の3月1日から12月31日の間に認証され、6年目の12月31日まで瓶詰めできます。

トウニー系:木樽でのゆっくりとした酸化

トウニーは逆の道をたどります。酸素を通す小さめの木樽で熟成され、そこで生まれる香りの成分が熟成トウニーの価値を決めます。結果は時間、温度、酸素に左右されます。熟成したポートワインで研究されている成分の一つがソトロンで、ナッツやスパイスを思わせる熟成香と結びつけられています。

色も変わります。単一年の収穫から造るトウニーであるコリェイタ(Colheita)は木樽で7年以上熟成させる必要があり、その色は熟成年数に応じて金色を帯びた赤からトウニー色まで幅があります。一方、熟成年数表示付きのトウニーは、木樽で熟成させた異なる年のワインのブレンドで、表示できる年数は10年、20年、30年、40年、50年で、2025年からは80年も加わりました。

グラスの中でも二つの道は見分けられます。ヴィンテージは濃い赤色でフルボディ、古いトウニーやコリェイタは金色を帯びた赤からトウニー色へ移り、ナッツのような熟成香をまといます。

ヴィンテージ、LBV、コリェイタ、熟成年数表示付きトウニーを、原料のワイン、瓶詰め前の熟成、IVDPの主な規則で比べた表

年数は収穫から数える。ヴィンテージとLBVは酸素の少ないルビー系、コリェイタと熟成年数表示付きトウニーは木樽で酸化させるトウニー系に属する。

図の内容を文章・表で読む
図の内容(表)
原料のワイン瓶詰め前の熟成IVDPの規則
ヴィンテージ単一年の収穫木樽(通常は大型)か不活性容器、少ない酸素収穫後2年目の1〜6月に認証、3年目の7月30日までに瓶詰め
LBV単一年の収穫木製またはステンレスのタンク、少ない酸素4年目に認証、6年目の12月31日までに瓶詰め
コリェイタ単一年の収穫木樽、ゆっくりとした酸化木樽で7年以上
年数表示付きトウニー異なる年のブレンド木樽、ゆっくりとした酸化10・20・30・40・50年、2025年からは80年を表示できる

練習問題1:時期がなぜ重要か

以下の練習問題と解答はこの記事のために作成したもので、いかなる試験機関の問題・解答でもありません。

設問:ポートワインの醸造で抽出を速く行わなければならない理由と、酒精強化の時期がワインの甘さと度数をどう決めるかを説明しなさい。

模範解答:蒸留酒は発酵開始から約2〜3日後、ワインのアルコール度数が6〜9%に達した段階で加えられるため、色素とタンニンはその短い時間のうちに果皮から抽出しなければならない。花崗岩のラガールでの足踏みやロボット式の踏み込みは果粒を潰し、果皮を発酵中の果汁に接し続けさせる。トゥーリガ・ナシオナルのように果皮が厚くアントシアニンに富む品種は色に寄与する。蒸留酒はIVDPが認証したアルコール度数77%のアグアルデンテで、IVDPは2012年の収穫について添加量をポートワイン550リットルあたり65〜120リットルと定めた。蒸留酒は発酵を中断させてブドウの糖分の一部を残し、完成したポートワインは約18〜22%になる。加える時期が早いほど多くの糖分が残る。

採点基準(自己採点・10点):発酵が2〜3日後、6〜9%で止められること(3)、足踏みまたはロボット式の踏み込みの役割(2)、77%のアグアルデンテと添加量(2)、酒精強化が糖分を残し、最終的な度数を約18〜22%にすること(3)。

練習問題2:ヴィンテージと熟成年数表示付きトウニー

設問:ヴィンテージ・ポートと熟成年数表示付きのトウニーを比べ、それぞれの熟成の仕方と、それがグラスの中にどう表れるかを説明しなさい。

模範解答:ヴィンテージ・ポートは単一年の収穫から造られる。瓶詰め前に木樽(通常は大型)または不活性の容器で、酸素との接触が少ない状態で熟成され、IVDPが収穫後2年目の1月から6月に認証し、3年目の7月30日までに瓶詰めされる。その後も瓶の中で数十年にわたって変化を続け、濃い赤色でフルボディである。熟成年数表示付きのトウニーは、酸素を通す木樽で熟成させた異なる年のワインのブレンドで、ラベルには10年、20年、30年、40年、50年、または2025年から認められた80年を表示できる。酸化的な熟成によって色はトウニー色へ移り、ナッツのような熟成香と結びつくソトロンなどの成分が生まれる。

採点基準(自己採点・10点):単一年のワインであるヴィンテージの認証と瓶詰めの期間(3)、瓶詰めの前後で酸素が少ないこと(2)、木樽で酸素に触れて熟成させた複数年のブレンドとしての熟成年数表示付きトウニーと、表示できる年数(3)、色と香りの対比(2)。

ドウロのブドウ畑から2つのスタイルのポートワインへ

手順 1

ブドウ畑

  • 片岩の斜面、雨は西から東へ減る
  • 区画をAからFで採点し、毎年ベネフィシオを配分
手順 2

セラー

  • 足踏みしながら2〜3日発酵
  • 77%の蒸留酒で6〜9%の段階で停止
手順 3

熟成

  • ルビーとヴィンテージ:大型容器、少ない酸素
  • トウニーとコリェイタ:木樽、ゆっくりとした酸化
出典欄のIVDPの資料と研究総説をもとにまとめた。

よくある質問

ポートワインでは、いつブドウ蒸留酒を加えるのですか?

発酵開始から約2〜3日後、目指すスタイルと甘さに応じて、ワインのアルコール度数が6〜9%に達した段階です。加えるのはアルコール度数77%のアグアルデンテで、IVDPは2012年の収穫について、その量をポートワイン550リットルあたり65〜120リットルと定めました。

ルビーとトウニーのポートワインはどう違うのですか?

ルビーとヴィンテージは大型の容器や瓶の中で、酸素との接触が少ない状態で熟成し、深い赤色を保ちます。トウニーは酸素を通す小さめの木樽で熟成するため、色がトウニー色へ移り、ソトロンと結びつくナッツのような熟成香が生まれます。

ヴィンテージ、LBV、コリェイタは瓶詰めまでどのくらい熟成させるのですか?

ヴィンテージは収穫後2年目の1月から6月に認証され、3年目の7月30日までに瓶詰めされます。LBVは4年目に認証され、6年目の12月31日まで瓶詰めできます。コリェイタは木樽で7年以上熟成させなければなりません。

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